6/122025
(木)
コンクラーベに参加して(前田枢機卿 寄稿)
去る5月、コンクラーベに参加してまいりました。
その際の経験や感じたことを、話せる範囲で皆さまにお伝えしたいと思います。
新教皇を選出するコンクラーベは、5月7日よりバチカンにて始まりました。
現地時間の午前10時、聖ペトロ大聖堂にはあふれんばかりの人々が集まり、荘厳かつ盛大なグレゴリオ聖歌によるミサが行われました。
昼食をはさんで、午後4時30分より、いよいよシスティーナ礼拝堂でのセレモニーが始まりました。
この場面は一般にも公開されましたが、まさに今年公開された映画『教皇選挙』のとおりであったと感じました。
その後、礼拝堂は完全に閉鎖され、選挙権を持つ133人の枢機卿のみが残されました。
意外だったのは、厳粛な中にも会話が交わされるなど、和やかな雰囲気で選挙が始まったことです。
投票の際には、これも映画で描かれていたとおり、票を示しながら祈りを唱え、投票つぼの蓋に票を置いて、蓋を傾けて票をつぼに入れ、蓋を元に戻して次の人が同様に投票していきました。
詳しい開票結果などは守秘義務のため申し上げられませんが、現地時間の8日午後、5回目の投票にて新たな教皇が選出されました。
その瞬間、三分の二以上の票を得た候補者の名が読み上げられると、場内に拍手が湧き起こりました。
聖母マリアと聖霊の働きを、そこに強く感じました。
この歴史的な選挙に関わることができた経験は、生涯忘れることはないでしょう。
カーディナル コンクラーベの聖五月
新教皇は直ちに投票結果を受け入れ、白いズケッタ(聖職者が被る帽子)とスータン(立襟の祭服)に着替えて姿を現し、「レオ」と名乗る宣言をなさいました。
すべての枢機卿が列をつくり、新教皇とあいさつを交わしました。
私は「デオ・グラツィアス(神に感謝)」と声をかけ、抱擁を交わしました。
その瞬間、私自身が召命を受けたときに心の支えとした聖句──「お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」──が思い浮かびました。
「大漁でありますように」と、心をこめて祈りました。
パパレオネ デオ グラツィアス 衣更え
その後、夕刻の聖ペトロ大聖堂前広場に集まった人々の歓声は、すでに報道などでご承知のとおりです。
パパレオネ ビバパパレオネ 五月晴れ
前田万葉