5/102025
(土)
【講演会レポート】日本二十六聖人が歩んだ道
―史料と画像に残された彼らの影響―
2025年5月10日(土)、大阪高松カテドラル聖マリア大聖堂にて開催された講演会「日本二十六聖人が歩んだ道 ―史料と画像に残された彼らの影響―」を聴講してまいりました。
本記事では、その様子を皆さまにご報告いたします。
講演会概要
テーマ | 「日本二十六聖人が歩んだ道 ―史料と画像に残された彼らの影響―」 |
日時 | 2025年5月10日(土)午前10:00〜 |
会場 | 大阪高松カテドラル聖マリア大聖堂/小聖堂 |
講師 | デルカ・レンゾ神父(イエズス会/日本二十六聖人記念館館長) |
講演会の内容
はじめに、浦上キリシタン資料館館長の岩波智代子様よりご挨拶がありました。バチカン美術館に所蔵されている岡山聖虚(おかやま せいきょ)作「日本二十六聖人図」が経年劣化していることに触れ、その修復と一部作品の里帰り展示が、大阪万博を機に予定されている旨が紹介されました。続いて、岡山聖虚の曾孫にあたる木下智香子様が登壇され、曾祖父の思い出や、「日本二十六聖人図」に込められた想いを語ってくださいました。
メインとなるレンゾ神父様の講演では、26聖人の殉教がどのように国内外で報じられ、記録されてきたかを、当時の新聞や絵画、書簡といった貴重な史料を交えながら詳しく解説されました。1627年の列福、1862年の列聖までの歩みが、信仰の歴史の中でどのような意味を持ち、どのように信仰の模範として受け継がれてきたのかが丁寧に語られ、日本国内における受容と再評価の動きについても、動画を交えて紹介されました。史料に裏打ちされた信仰の軌跡が、参加者一人ひとりに深い印象を残すひとときとなりました。
講演の最後には、長崎より駆けつけた高見三明名誉大司教様からもご挨拶があり、現在「一般社団法人26聖人聖画等プロジェクト」を立ち上げ、前田万葉枢機卿様を代表理事に据えたうえで、「日本二十六聖人図」の本格的な里帰り展示に向けた取り組みが始まっていることが報告されました。
聖マリア大聖堂での展示について
現在、聖マリア大聖堂内には、岡山聖虚作「日本二十六聖人図」のレプリカが展示されています。さらに、別室には岡山聖虚の他の作品も展示されており、静謐な空間の中でゆっくりと鑑賞することができます。お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。


歴史と信仰が交錯する「日本二十六聖人」の歩みを、史料と祈りの中に見出すかけがえのない機会となった今回の講演会。
これからも、こうした出会いと学びの場を大切にしていきたいと思います。